HOME > 食中毒予防教室 > 食中毒の基礎知識:細菌検査について

食中毒予防教室

■細菌検査について

【はじめに】

食品の衛生管理は、微生物の増殖を阻止することが、一番の課題となりますが、これを検証するには微生物検査が必要となります。実際に検査を実施する場合は、食品の特性により検査方法や検査対象菌が異なります。今回は、食品衛生管理で実施する微生物検査についてまとめました。

【食品微生物検査の仕組み】
●検査の意義

微生物検査の主目的は、食品中に潜在する有害微生物やそれらによって起因する人の健康障害を未然に防ぐことにあります。

食品の衛生微生物検査は、事前検査と事後検査に大別できます。事前検査は食品の安全性に関する評価試験で、HACCPの重要管理点(CCP)の設定も含まれています。事後検査は、食中毒発生後の原因究明を目的としています。従って、品質管理ではその殆どが事前検査を行なっていることになります。


●検査対象微生物

食品検査を行なう際にまず重要なことは、検査対象となる微生物を選択することです。国や地方自治体から種々の食品について規格基準が設定されていて、その中に微生物に関する基準も示されています。

食品衛生法によって規定されている微生物検査の基本は、食品の微生物的品質の評価として一般生菌数と大腸菌群(あるいは糞便系大腸菌群または大腸菌)の組合せとなります。公的検査や自主検査ではこの基本的な組合せを実施するのが一般的となっていますが、近年ではそれらに加えて対象食品と関連性の高い食中毒菌をあらかじめ指標に含めている所が殆どです。

一般生菌数の測定(標準平板菌数 StandardPlate Count :SPC)
ウイルス

食品の微生物汚染の程度を示す最も代表的な指標で、食品の製造、流通過程における品質管理や衛生対策上、重要となります。菌数の多い食品は、一般的にその加工、製造、輸送、貯蔵などの過程で衛生的かつ適切な取扱いがなされていなかったり、温度管理が不適切であったことを示唆しています。

細菌は、発育温度の違いから低温細菌(7℃以下でも発育)、中温細菌(20~40℃に発育、高温細菌(50~60℃に発育)に区別されます。通常、一般生菌数の検査は好気性の中温細菌を対象としています。これは食中毒菌の殆どが中温細菌であることによります。そのため、あらゆる種類の細菌が測定できるというわけではなく、偏性嫌気性菌のウエルシュ菌やボツリヌス菌、好塩性の腸炎ビブリオなどは存在していてもわからないため、別途検査対象の細菌に適した検査を行なうことが必要となります。

大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の測定
ウイルス

食品が衛生的に取り扱われたか、病原菌汚染の可能性があるかどうかを評価するための指標菌である大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の検査を実施し、衛生的な良否を推定します。

大腸菌群はグラム陰性の無芽胞桿菌で、乳糖を分解して酸とガスを産生する通性嫌気性菌の一群です。これまでは糞便による汚染を意味するものとされていましたが、ヒトや動物の糞便とは直接関係ない自然界にも広く分布することから、今日では衛生管理における汚染の指標と考えられています。加熱処理などの殺菌工程のある食品が検査対象となることが多く、加熱済み食品からの検出は、加熱不足や不適切な取扱いによる加熱後の二次汚染などを示唆しています。

糞便系大腸菌群と大腸菌は大腸菌群に比べ、ヒトおよび動物の糞便に由来する確率が高腸管系病原菌に汚染されている可能性が高くなります。したがって、自然界からの汚染がそのまま反映されやすい生肉、魚介類、生野菜などのような非加熱食品の検査に適用されます。

【参考文献】

食品中の微生物検査法解説書 三瀬勝利 井上富士男/編

講談社サイエンティフィク

2004食品衛生検査指針